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東卍童話パロ ヘンゼルとグレーテル

第1章 東卍童話パロ ヘンゼルとグレーテル


 一方スマイリーは企みの気配を察し、また石を拾って来ようと思い立ちます。しかし今夜は、子供部屋に外から鍵がかけられていました。

「あンのババアやりやがったな」
「どうすんの?また置いていかれたら…戻れないよ?」

 部屋の中で兄弟はあれこれ話し合います。

「小石はないけど、こちとら昨日のパンがあるんだよ」

 スマイリーは、ハイキングでの残りのパンをポケットに忍ばせました。



 再び家族は森へハイキングに出掛け、前回よりさらに奥へと進みます。歩きながらスマイリーは、道にパンのくずを落としていました。
 さあ、いざ戻ろうとした時、パンくずがどこにも見当たりません。

「あれっ…」
「鳥に食べられてる…ダメじゃんにいちゃん」

 アングリーが気付き、二人は肩を落として途方に暮れました。

「どうしよう…」
「泣くなよ?アングリー。大丈夫だから。兄ちゃんが何とかしてやる」

 みるみる元気をなくす弟に、兄は力強く声を掛けて励まします。

「泣かないよ!約束だもん」

 涙をぐっとこらえ、気丈に振る舞うアングリー。そんな弟を気遣いながら森をさまよいます。
 日が暮れて辺りは暗くなり、歩き疲れてお腹もすいてきました。二人はしゃがみ込み、不安でいっぱいな夜を過ごしました。



 明くる日、二人は鳥のさえずりで目を覚まします。
 見ると一羽の白い鳥が木に留まっていて、アングリーが気付いて近寄りました。鳥は逃げずに彼にさえずり続けます。

「この鳥、オレたちに何か伝えようとしてるよ!」
「…オレにはわかんねーぞ?」
「よしよし…優しいヤツだな」

 白い鳥に導かれ森を進んでいくと、突如目の前に美味しそうなお菓子で作られた家が現れました。

「すげー見ろよアングリー、お菓子で出来てる家あんぞ!」
「わー美味そう!食べれるの?」

 スマイリーが近付いて、試しに窓枠のクッキーを折って食べてみます。

「ん、食えるぜ。マジもんのお菓子だわ」
「わあ、やったー!」

 途端にアングリーは嬉しそうに飛びついて、チーズケーキの壁やドーナッツの窓を食べ始めました。スマイリーもそれに続きます。








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