第1章 東卍童話パロ ヘンゼルとグレーテル
毎日帰りを待っていたのか、小屋の外で佇むイヌピーの姿を見つけ、アングリーが真っ先に駆け寄って抱きつきました。
「とうちゃんー!」
「良かった…戻ってくれて……本当に良かった…っ」
涙を見せる父に、スマイリーも胸が熱くなり傍へ寄り添います。
「全く、お前らのタフさときたら……正直驚いた」
ココも出てきて、二人に向かって呆れたように呟きました。スマイリーはココに、お菓子の家から逃げる際に持ち帰った、数々のきらびやかな宝石を見せました。
「お荷物だなんて言わせねェぞ?」
「フッ…」
スマイリーの言葉に小さく笑うと、ココは観念したように息をつきます。
「オレの負けだ…悪かった」
そして二人に頭を下げたのでした。
それを見て、兄弟も家族を想う気持ちが湧いてきて口々に言いました。
「これからはちゃんと働くワ!」
「お前たちは子供だからいいんだよ」
「じゃあお手伝いする!ねえとうちゃん、いいでしょ?」
「ああ、わかった。ありがとうな」
「…よし、晩ご飯はお前らの好きなラーメンにするか!」
そう言って優しい笑顔を見せるココに、子供たちは互いに顔を見合わせて喜びました。
「やったあ!」
「ありがとう、かあちゃん!」
「かあちゃん…」
今までなつかなかった子供たちからそう呼ばれ、戸惑いながらココが照れています。その様子にプッと吹き出し、ココの肩を抱いてイヌピーは家に入りました。
「…何笑ってんだよイヌピー」
「何でもねえよ。さ、メシにしようぜ?」
兄弟はこれからも一層仲を深め、家族四人で明るく楽しく暮らしていきました。
配役
ヘンゼル:スマイリー
グレーテル:アングリー
魔女(兼おばあさん):ムーチョ
魔女一味:蘭、竜胆
木こりの父:イヌピー
継母:ココ
終