第2章 削り節おむすび(おかか味)
翌日も御役所に私は通った。何か情報が得られるのではないかと思ったからだ。山の許可は直ぐには降りないだろうと思った。御役所に行ってみた。この日は御役所がいつになく賑わっていた。
「あの、すみません。山の許可っていつ頃降りるかわかりますか?」
私は御役所の人に聞いた。
「ひと月はかかるんじゃないか。」
御役所の人はそう言った。
「ひと月ですか・・・。そんなにかかるものなんですか?」
私は不思議に思って聞いた。
「そりゃそうだろう。山に入ったとしても立ち入り禁止区域もあるだろうからな。それに竹藪を借りるとなればそれなりの借用書も必要になってくるしな。今、問い合わせてるところだから待っていただきたい。それで許可が下りたら手紙を出そうと思うが君の住所はどこかね?」
御役所に人に聞かれたので吾郎さんの所に今は世話になっていると私は言った。
「そうか。おーい吾郎!」
「ヘイなんですか?」
「山の許可が下りたら吾郎に言づけるからこの子に知らせてくれないか?」
「お安い御用ですよ。」
こうして吾郎さんからの返事を待つことになった。
「ありがとうございます。それでは吾郎さんよろしくお願いします。」
「あいよ!」
「失礼しました。」
私はお礼を言って御役所を出ると出店に繰り出してみた。まだ小判はないから物は買えないけど歯ブラシの材料になりそうなものはないか探すことにしたのだ。」
そもそも持つところは竹で作ったとしても毛先は何で作ればいいのかな?でもこの時代にだって筆はあるんだもんね。筆を作る仕組みさへ分かればブラシの毛先と竹の棒をくっつけることができるかもしれないと、私は思った。
出店は活気づいていてどこもかしこも楽し気な威勢のいい声が響いていた。
「今日は鯵が安いよ!」
「大根が安いよ!お嬢ちゃん、買っていかないかい?」
「すみません。今、小判を持っていなくてまたの機会にします。あの~筆を売ってる所はどこにありますか?筆を見せてもらえないかなって思ったんですけど。」
私は八百屋の男の人に聞いた。
「筆ならもう少し先の乾物屋を左に行った所にあるよ。」
「ありがとうございます。行ってみます。」
私は教えてもらった筆屋さんに行ってみることにした。