第4章 錬金術師の苦悩
迎えがくるまでの短い時間、オレはアレキサンダーを追いかけまわしたが、犬に体力で勝てる訳もなく力尽きて地面に寝転がれば、アレキサンダーはその上に乗ってくつろぎ始めた。
どんだけオレの背中が好きなんだよ、この犬は。
「よぉ、大将。迎えに来たぞ。……何やってんだ?」
迎えに来たハボック少尉が当然の疑問を投げかけた。
「いや、これは資料検索の合間の息抜きと言うかなんと言うか!」
善意で資料を見せてくれているというのに、遊んでいるだけだと勘違いされては困ると思い、弁明を測るがタッカーさんは言い訳じみた言い分を否定する事も説教する事もなくニコニコと笑っていた。
これといった資料はまだ見つけることはできなかったが、また明日おいでと優しい言葉を貰い、オレたちはタッカーさんの家を後にした。
「お兄ちゃんたちまた来てくれるの?」
「うん、また明日遊ぼうね」
遊びに来ているわけではないが、ニーナが楽しそうにするもんだから、ついつい一緒に遊んでしまう。
小さな身体で大きく手を振るニーナと尻尾を大きく振っているアレキサンダーと別れてホテルへと戻った。