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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第4章 錬金術師の苦悩






「まあ、とにかくどんな人物か会ってみる事だね」

そう言ったきり、大佐は何も話さなくなった。
シン、と静まる車内。
だけど、アルがその沈黙を破った。

「あの、大佐。聞きたいことがあるんですけど」
「なんだね」
「さんはああいってましたけど、本当に怪我は大丈夫なんですか?中尉との会話を聞いてると……」
「なに、心配することは本当にないさ。念のためだよ」

静かに笑う大佐だけど、はぐらかされた気がする。
通常人間の体温は36度から37度。
低い人でも35度後半くらいだろう。
だけどは違う。
真理に「体温」を持って行かれ平熱は31度だと言う。
免疫力も抗体も通常の人よりだいぶ弱いんじゃないか。

…………安静、ねぇ。

余計な不安をするなってか。
だからなんも言わねえんだ、も大佐も。

「子供扱いしやがって」

ぽつりと呟いた声が聞こえていたのか、大佐はちらりとオレを見ると緩く口元をあげた。
それだけだった。

おもしろくねえ。

深いため息を吐いて窓に肘を立てて頬に手を当てた。



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