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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第4章 錬金術師の苦悩





執務室へ戻ると、「やっと戻って来た」とエドワードくんが、「怪我は大丈夫ですか?」とアルフォンスくんがそれぞれ口に出した。

「怪我は大丈夫です。心配してくださりありがとうございます。今からどこかに行く予定ですか?」
「ああ。タッカー氏のご自宅にな」
「"綴命の錬金術師"の?」
「鋼のが生体錬成に詳しい人物を紹介しろってうるさくてな。まったく我儘で困るよ」
「借りつくんのは気色が悪いっつったのアンタだろうが」

まるで漫才のような掛け合い。
そうか、タッカーさんの家に行くのか。
今日一日は安静にした方がいいかなと思ったが、出かけるのであれば私も行かないと。

「、君は今日はもう帰って休め」
「え?」

いろいろと考えていると大佐の声が響いた。

「怪我をしたんだ、安静にすることだ」
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」
「今日は私の部屋に泊まる?」
「いえ、自分の家に戻ります。お手数おかけするわけには」
「あら、大佐の言葉には甘えるのに私の提案には甘えてくれないのかしら」
「…………では、泊まらせていただきます」

柔らかい笑みを浮かべるリザさん。
彼女の言葉に私はいつも勝てないでいる。
私達のやり取りを見ていた兄弟は目をぱちくりとさせていて不思議そうな顔をしていた。


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