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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第4章 錬金術師の苦悩





「どう?彼等との旅は」

執務室に戻るまでの時間、リザさんに兄弟との旅のことを話した。
エドワードくんは相変わらずのトラブルメーカーでアルフォンスくんを困らせていることや、アルフォンスくんもアルフォンスくんでたまに血の気が多いことがあること、そうなった場合どうやって二人を止めようかなと考えていることなどを話した。

「アルフォンスくんは穏やかな人なので優しいのはもちろんですが、エドワードくんもまた不器用な優しさを持ちあわせていて、嬉しくなると同時にかわいそうになってきます。私に対してもそういう接し方をしてくるので、少し、居心地が悪くなる時があります。そんな優しさ、私には必要ないのに」
「…………それは、あなたがあなた自身を赦せないからでしょう。無理に赦すようなことはしなくていいと思うけど、彼等の優しさをかわいそうと思うのだけはやめなさい。それはあなたや彼等を苦しめることになるから」
「………………はい」

そうはいっても、リザさん。
私なんかにそんなものを与えても仕方ないと思いませんか。
私は人を殺したことがあるんです。
小さな手で何十人、何百人って。
国の為だとか人の為だとか、そんなのじゃなくて。
ただ復讐を果たすためだけに。
そんな私に数少ない優しさをくれるのはもったいないと思いませんか。
かわいそうだって、思っても仕方なくないですか。




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