第3章 車上の戦い
扉を開ければ、彼等はどうやら無事な用でほっと胸を撫でおろす。
ご婦人やお子さんはあまりの恐怖に身体を震わせ、目に涙を溜めている。
私は極力子供を怖がらせないようにその場にしゃがみこんだ。
「もう大丈夫ですよ。犯行グループは制圧しました。どこか怪我などはしていませんか?」
「私と子供はどこも……。ただ夫が……。それにあなたも……」
「私のことは気にしないでください」
「……もしかして、マスタングのところのアールシャナ中尉か?」
「はい。お久し振りです、ハクロ将軍」
将軍は苦虫を潰したような表情で私を睨んだ。
それもそうだろう。
マスタング大佐を嫌っていて、その部下に助けられたとなると居心地のいい思いはしないはず。
だけど家族の手前小言を言う事も出来ない。
そんなことをしたら、父親といしての威厳が保てなくなる。
マスタング大佐の顔は立てておかなくてはいけない。
私は小さくお辞儀をしてエルリック兄弟の元へと戻り、犯行グループを縄で拘束した。
「、オマエ撃たれたのか?」
「大したことではありません。それよりきみたちは怪我はありませんか?」
「あるわけねぇだろ!」
「ボクも生身の身体じゃないので、怪我はしませんよ」
「それはなによりです」
小さく笑みを零せば、彼等もまた安心したように笑みを零した。