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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第1章 三人の錬金術師





目を覚ました。
動機が激しい。
息も荒い、冷汗が止まらない。

また、だ。
また同じ夢を見ている。

ごめんなさい。

小さく何度も謝罪しても、その声は誰にも届かない。
許されたいだけの、謝罪。
意味を持たない言葉。
小さく身体を丸めて自分を抱きしめた。

愚かな自分は何度も過ちを犯す。
赦されない、赦せない。己の大罪に、胸が締め付けられる。

ふと、窓の外に目を向けると、目的の街はすぐそこだった。
慌てて汽車を降りる。
危ない、乗り過ごすところだった。

酷い悪夢を見たせいで、喉がカラカラに乾いている。
舌の根が喉の奥にへばりついて、気持ち悪い。
とりあえず、街に着いたら、飲み物を飲もう。

飲食店はすぐに見つかった。
そしてエルリック兄弟の姿も。
始発の電車で来たと言うのに、彼等の方が早いとは。
まぁ、いいか。

「すみません、オレンジジュース一つお願いします」
「はいよ」

店主さんと思われる男性に注文を頼み、私は長い金髪を三つ編みにしている少年の隣に座った。
横目で私を見る少年の瞳が徐々に大きく見開かれる。

「あ、あんた、大佐んとこの……」
「本日からあなた方の護衛を任された・アールシャナです。よろしくお願いします」
「え、女性の方……ですか?」

少年の隣に座っていた鎧が驚いた声をあげた。

「ボクたち、てっきり男性の方かと思ってました……」
「人手が、足りないんですよ」

乾いた笑みを浮かべれば、鎧の少年、アルフォンスくんは困ったように笑った。
兄であるエドワードくんは私をじっと見つめている。


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