第1章 三人の錬金術師
次の日。
私は始発でリオールを目指した。
朝の汽車は空いていて、好きな席に腰を下ろした。
小さく欠伸を零しながら、流れる景色を眺める。
『ちゃんと眠れているの?』
昨日のリザさんの言葉を思い出す。
眠れてませんよ、全然。
眠たいのに、眠りたくないんです。
眠ってしまったら、怖い夢を見てしまうから。
怖い夢は、怖いから、嫌なんです。
リザさん、わかってくれるでしょう?
だけど、睡魔は必ずやってきて、身体は、脳は、それを受け入れる。
抵抗できないまま、寝不足の身体は、夢の中へと沈んでいった。
―――きゃああああっ!!
―――やめて、殺さないで!!
―――なんでこんな子供が!!!!
―――この悪魔め!!殺してやる!!!
―――"雪女"が南区に出たらしいぞ。
―――じゃあ、南区は全滅確定だな。
―――まだ、12歳の子供らしい。
―――つうか、そんな子供がなんで戦場にいんだ?
―――な、んで……。
―――おにい、ちゃん……。
―――なんで、こんな……嘘だって、言って……。
―――ごめん、ごめんなさい……ごめんなさい、お兄ちゃん。