第3章 車上の戦い
――・アールシャナside――
時は列車が乗っ取られる数刻前まで戻る。
ユースウェル炭鉱を後にした私達は次の街へと赴いていた。
何か有力は情報はないものかと図書館により文献を漁ったり、街の人に聞いてみたりしたが、これと言ったものは見つからなかった。
夜遅くまで本を読んでいるエドワードくんに声をかけるも、一度集中してしまった彼には私の声は届かなかった。
結局、徹夜してしまったエドワードくんは案の定列車に乗り込むとすぐに大きな欠伸を何度も繰り返した。
「昨日ちゃんと寝ないからですよ」
「うるせえな。移動中に寝てんだろ」
「それでは休まる身体も休まらないでしょう」
窓際に座るエドワードくんは「へーへー」と生返事をするだけで私の言葉など聞き入れてはくれない。
私は軽く息を吐いた。
「アルフォンスくん、少しだけどちらかに寄ってもらうことはできますか?」
「え?」
「多少狭いですが、座席に横になって眠ることはできるでしょう」
私は腰を上げて、アルフォンスくんの隣に座った。
鎧の彼の隣は少し窮屈だが、座れないことはない。