第2章 炭鉱の街
「いいのかよ、あんな約束交わして」
席を外して夜風に当たっていると、エドワードくんが姿を現した。
私の隣に腰を下ろすと、持っていたコーヒーに口を付ける。
「大丈夫ですよ。子供の気持ちは移り変わりが激しいですから。一種の憧れのようなものを抱いているにすぎません」
「……憧れだけであそこまでやるかね」
「子供の行動力は大人の行動力より大胆ですよ。純粋だからこそ疑う事を知らない。身に覚えがあるでしょう」
彼は押し黙った。
純粋な気持ちは時に正しい判断を見誤る。
会いたい人がいるという理由だけで人体錬成をした。
大事な人を殺したと言う理由で人を殺すこともできる。
「子供は、なんでもできるんですよ」
「……そうだな」
そして夜は少しづつ明けていく。
あの後も宴は続いたが、気付いたらみんな床に転がって深い眠りへと落ちていた。
エドワードくんも騒ぎ疲れたのか、お腹を出して寝ている。
アルフォンスくんはまるで母親のように「お腹出して!!」と怒っていて、これではどちらが兄か分からない。
私はホーリング夫人と一緒に寝ている人たちに毛布を掛けて回る。
こんなに騒いだのは久しぶりだという。