第2章 炭鉱の街
権利書を持った私達は街の人たちが集っている倉庫へと足を運んだ。
暗い雰囲気が漂う場所には不釣り合いな程明るい声でエドワードくんはその扉を開けた。
案の定、彼等は怪訝な顔でエドワードくんを見つめている。
何をしに来たのか、と問う彼等にエドワードくんは権利書をちらつかせ、ホーリングさんに権利書を買うように持ち掛ける。
ホーリングさんたちにとっては喉から手が出るほどほしいものだ。
「……俺達に売りつけようってのか?いくらで?」
「高いよ?何かを得ようとするならそれなりの代価を払ってもらわないとね」
にやりと不敵な笑みを浮かべるエドワードくんは、ベラベラと高級羊皮紙だとか金の箔押しだとか言い出し、他にも保管箱のデザインが―――……とにかく高級ですごいものだとホーリングさんたちに訴えかける。
聞いている私も途中から何を言っているのかわかんなくなったのだから、ホーリングさんたちはもっと分からないだろう。
そして最後に、強かに微笑んで彼はこう言った。
「ま、素人目の見積もりだけどこれ全部ひっくるめて―――親方んトコで一拍二食三人分の料金―――ってのが妥当かな」
「あ……等価交換……」
「はは……はははは!!たしかに高ぇな!!」
大きな声でひとしきり笑ったホーリングさんは、強く樽を叩いた。
「よっしゃ買った!!」
「売った!!」
交渉成立―――そのタイミングで、ヨキ中尉達が乱入してきたが、金塊が石くれになったと騒ぎたて、あまつさえ金塊と権利書を引き換えにしたのにこれは詐欺ではないかと言い始めた。