第2章 炭鉱の街
ただ黙って、彼は歩き出す。
アルフォンスくんは慌てたように彼の跡を追った。
私もまた、泣き崩れるホーリング夫妻とカヤルくんに目を向けて、踵を返し兄弟の後ろをついて歩いた。
「兄さん待ってよ!」
先を行くエドワードくんに声を掛けるアルフォンスくんだったが、彼は返事もせずに歩くだけ。
「本当あの人達放っておく気……」
「アル」
言葉を遮って彼はとある場所で足を止めた。
そこは大きなトロッコが何台もあり、その中には石炭のような積んであった。
「これは、ボタ山ですか?」
よくみるとそれは石炭ではなく、石炭以外の悪石がだった。
ざっと見るに1~2トンくらいはあるだろうか。
なぜ彼がここに足を運んだのか。
私はその意図を理解し、私は自分の靴ひもをわざと解いた。
「よーし。今からちょいと法に触れる事するけどおまえら見て見ぬふりしろ」
「へ!?で、でもさんが……!!」
「私は今靴の紐を結んでいます。なので、この間何が起きても気づかないでしょうね」
「何が起きてもか?」
「はい。靴ひもを結んでいる間だけですが」
「りょーかい」