第2章 炭鉱の街
私は地べたに座り込んで落胆しているカヤルくんの元へと行った。
なんと声を掛けて慰めればいいのかわからずにいた私に、カヤルくんはぽつりぽつりと語った。
「……親父が錬金術をやっていたのは、この街を救いたかったからなんだ。なぁ、エド。あんた黄金を錬成できる程の実力者なんだろ?ぱっと錬成して親父……街を救ってくれよ……‼」
カヤルくんの悲痛な叫び。
だけど、その頼みは引き受けることはできない。
「錬金術の基本は"等価交換"!あんたらに金をくれてやる義理も義務もオレにはない」
「てめえ………それでも錬金術師か!!」
エドワードくんの胸倉を掴むカヤルくん。
錬金術師よ、大衆のためにあれ。
文字通りの意味だが、金を錬成することは禁止されている。
だからどんなに頼まれてもそれはできないことだ。
それにもし、金を錬成できたとしてもきっとすぐに税金として持って行かれてしまう。
悪循環にしかならない。
「そんなに困ってるならこの街出てちがう職さがせよ」
「小僧。おまえにゃわからんだろうがな」
背を向けるエドワードくんにホーリングさんの静かな声が届いた。
「炭鉱が俺達の家で、棺桶よ」
彼の言葉に、エドワードくんは何も言わずにただ空を見上げていた。