第2章 炭鉱の街
「さん、怪我は大丈夫ですか?」
手当てが終わった時、アルフォンスくんとカヤルくんが私の怪我の具合を聞きに来た。
大きめのガーゼを側頭部に貼ってあるが、傷の深さは大したことがないと伝えると2人とも安堵のため息を吐いた。
そして、なぜかアルフォンスくんに怒られた。
「あまり無茶しないでください。さんは女性なんですから、傷が残るような怪我なんてしたら……」
「嫁の貰い手がなくなりますよ、ですか?」
「そ、うじゃないけど!!さんが床に倒れてるの見てすごく心配したんですよ!!」
ぷりぷりと怒る彼に私は笑みが零れる。
昔、ヒューズさんや大佐にも似たような事を言われたな。
「心配おかけして申し訳ありません。でも、無茶はしないとは約束できませんね。君たち兄弟を護るのが私の使命なので」
「そうだけど……」
「カヤルくん、あなたは怪我はしていませんね」
「オレはしてない。ありがとう姉ちゃん」
小さな手が私の頭に触れる。
子供体温の温かさに、彼の小さな優しさに、その小さな身体を抱きしめた。
「君はいい男になりますよ。立派な大人になります」
「ほ、ほんとう?」
「はい、保証します」