第2章 炭鉱の街
「大丈夫か、」
どうやらエドワードくんが私達の間に入り、助けてくれたみたい。
「はい。ありがとうございます」
エドワードくんの手を借りながら立ち上がると、カヤルくんが私から流れる血に気づき、今にも泣きそうな表情で見つめていた。
ヨキ中尉たちは、エドワードくんとアルフォンスくんの登場に驚きを隠せないでいるようだ。
邪魔者扱いしていたヨキ中尉だが、エドワードくんが国家錬金術師の証である銀時計を見せるとその態度は一変。
ごまをするような動きで彼に近づき、エドワードくんだけを彼自身が経営しているであろう宿泊施設に案内した。
その時、エドワードくんは私を見ていたが小さく首を振ってそれを拒んだ。
ここで私が軍人であることがバレれば、庇ったカヤルくんや他の人たちに迷惑がかかる。
私が軍人であることは彼等には告げない。
その方がたぶん、いいんだと思う。
「いいか貴様ら!!税金はきっちり払ってもらうからな!」
そう言い捨て、ヨキ中尉はエドワードくんを連れて出て行ってしまった。