第2章 炭鉱の街
テーブルに置かれた2つの食事。
私とアルフォンスくんの分だが、彼は食事をとらない、とれない。
「アルフォンスくん、その食事を外にいるエドワードくんに持って行ってください。きっとお腹を空かせているはずなので」
「持って行くついでにさっきの話もしてきます」
「そうしてください」
「さんは?」
「2人で抜けると、怪しまれるでしょう?」
「たしかにそうですね」
小さく頷いて、彼は外へと出て行った。
その姿を見送ると、タイミングよくカヤルくんが私の側に寄ってきて「鎧の兄ちゃんは?」と尋ねて来た。
「外の空気を吸ってくると出ていきましたよ」
「ふーん……」
「今日はいろいろとありがとうございます」
「なにが?」
「みなさんの食事もままならないというのに、私たちのためにご飯と寝床を用意してくださり」
「気にすんなよ。客人にひもじい思いさせる訳にいかねえだろ」
眩しいほどの笑顔を向けるカヤルくんに私も笑みをこぼし、小さなその頭を優しく撫でれば、照れくさそうにうつむいて手遊びを始めた。
そんな子供の様子を眺めていた大人たちは微笑ましそうな顔をしていて、根はとても優しい人たちなんだとわかる。