第2章 炭鉱の街
なぜ軍人を嫌うのか、その理由を彼等は教えてくれた。
曰く、ここを統括しているヨキ中尉という軍人が金の亡者らしい。
中央の高官に賄賂を贈るのにご執心のようで、今の官位も金で買ったと言う。
元はただの炭鉱経営者だったのが出世に欲が出たとのことらしい。
つまり、ここはヨキ中尉の個人資産ということか。
ヨキ中尉がここの権利を握っているため彼らの給料はスズメの涙で、上に文句言おうにもヨキと賄賂でつながってるから握りつぶされる始末。
同じ軍人だけど、それは嫌いにもなるな。
みんながみんなそんな人ばかりではないとわかってほしいが、現状がこうなのだから信じろと言う方が難しいな。
「"錬金術師よ、大衆のためにあれ"。術師の常識でありプライドだ。数々の特権と引き換えとはいえ、軍事国家に魂売る奴ぁ俺は許す事ができん」
ホーリングさんは眉間に皺を寄せた。
彼は昔錬金術を勉強していたと言っていたはずなのに、なのになぜそんなことを言うんだろう。
研究を辞めてしまったとしても、才能がないと諦めてしまったとしても、同じ術師には変わりないと思うんだけど。