第2章 炭鉱の街
「錬金術師でエルリックって言ったら―――国家錬金術師の?」
ホーリングさんの言葉に、他の人たちの動きも止まる。
「……まぁ、一応……」
危惧しながら答え、目の前のコーヒーに手を付けようとしたが、それも取り上げられてしまった。
最終的にエルリック兄弟は店の外に追い出されてしまった。
一体なにがなんだか理解が追い付かない。
「こらー!!オレたちゃ客だぞ!!」
「かーーーぺぺぺっ!!軍の犬にくれてやるメシも寝床も無いわい!!」
「おい!!てめえはなんでそっちにいんだよ!!」
「バカ野郎!!こんな若い嬢ちゃんを野宿させるワケにいかねえだろっ!!」
国家錬金術師ではないが、私は軍の犬だ。
ホーリングさんはそれを知らない。
彼等を騙すのも悪いと思い、本当の事を言おうとしたが、それよりも早くアルフォンスくんが手をあげた。
「あ、ボクも一般人でーす!国家なんたらじゃありませーん」
「おおそうか!よし入れ!」
「裏切り者っ!!」
結局私は自分が軍の犬だと伝えられないまま、宿の中へと連れ戻されてしまった。
外では、エドワードくんが情けない声を出してアルフォンスくんの名前を呼んでいた。