第2章 炭鉱の街
違う宿を探しに行こうとするもカヤルくん曰く、どこの店も同じ値段だという。
法外な値段にするほどこの街の人たちの給料は少ないのか。
一度ここを統括している人と話をしなくてはいけないが、それは私の仕事ではないから大佐に連絡を入れなくてはいけない。
大佐は起きているだろうか、もしかしたら寝ているかもしれない。
明日の朝一番に連絡をいれればいいかな、なんて考えていると、「、聞いてんのか?」とエドワード君の声が聞こえた。
「すみません、考え事をしていました」
どうやらエドワードくんの所持金が足りないらしく、足りない分を私に補ってもらおうと思っていたらしい。
だが、そんな期待も虚しく、私の財布の中身も大した額は入っていなかった。
二人合わせて10万いかないくらい。
「こうなったら錬金術でこの石ころを金塊に変えて!」
「金の錬成は国家錬金法で禁止されてるでしょ!」
「バレなきゃいいんだよ、バレなきゃ」
「私が目の前にいるのによくその方法を口に出せましたね」
「……見て見ぬふりしてくれませんかね、さん」
エドワードくんは上目遣いでごまをすってきたが、私は首を横に振ってそれを拒否。
一日くらい野宿しても死にはしない。
そう提案しようとした時、私の視界に小さな少年が映った。
カヤルくんだ。
彼はその大きな瞳でエドワードくんを凝視している。
そして……。
「親父!この兄ちゃん錬金術師だ!!」
店内に響かんばかりの大声でそう叫んだ。