第2章 炭鉱の街
「いや、ホコリっぽくてすまねえな。炭鉱の給料が少ないんで店と二足のワラジって訳よ」
「何言ってんでえ、親方!その少ない給料を困ってる奴にすぐ分けちまうくせによ!」
「奥さんもそりゃ泣くぜ!」
「うるせぇや!!文句あんなら酒代のツケさっさと払え!!」
大きな笑い声が店内中に響き渡る。
店主であるホーリングさんが言った通り、お世辞にも綺麗な宿ではないけど、確かな暖かさがここにはある。
無意識に自分の頬の筋肉が緩むのを感じた。
「えーと、一泊二食の3人分ね」
「いくら?」
「高ぇぞ?」
ホーリングさんの奥さんの言葉に宿の値段を尋ねると、すかさずホーリングさんが意味深ににやりと笑った。
「ご心配なく。けっこう持ってるから」
国家錬金術師であるエドワードくんは研究費として高額の金額が支給されている。
多少高くても祓えない額ではないだろう、と思っていたが値段は予想外のものだった。
「30万!」
「ぼったくりもいいトコじゃねえかよ!!」
噛みつくように吠えるエドワードくん。
しかし、ホーリングさんは怒鳴るエドワードくんを気にもとめずに「だから言ったろ」と言った。