第14章 鋼の錬金術師
ロックベル家に着くと、中から背の低い女性が出て来た。
中佐は、半ば強引に家へと上がり込むときょろきょろと辺りを見渡し、エルリック兄弟の姿を探す。
すると部屋の奥に、車いすに乗った少年と後ろには鎧が立っていた。
少年の瞳は生気や輝きなど一切なく淀みきっている。
まるで、昔の私を見ているようだ。
中佐は眉間の皺を一層深くすると、少年に駆け寄りその胸倉を掴んだ。
「君達の家に行ったぞ!!なんだ、あの有様は!!何を作った!!」
先ほど見た光景とあの日の光景が重なる。
わかっているのに、それを本人の口から言わせようとしている中佐に「それ以上は言わないで」とか「彼も分かっている」と言いそうになるが、ぐっとこらえる。
"何をしてしまったのか"を知るには、認めるには、残酷だけど、正しいのかもしれない。
けれど、あまりにも……。
少年は、あの惨状を思い出しているのだろう。
目を逸らし、表情を歪ませ、唇を震わせた。
涙をこぼす少年の姿はあまりにも痛々しい。
その時、彼らの間に割って入る人物がいた。
後ろにいた鎧だ。
鎧はマスタング中佐の腕を押さえると「ごめんなさい」と何度も謝る。
「ごめんなさい。許してください。ごめんなさい」
悲痛な声が部屋に響く。
私も中佐も目を見開いた。
鎧が動いたからじゃない。
言葉を話したことに驚いた。
それも、意思を持って。
この時、私たちは気が付いた。
"エルリック兄弟"がロックベル家にいると聞いてここに来たが、いるのは少年一人。
写真に写っていたもう一人の少年の姿が見当たらない。
まさか、この鎧が……。
これが驚かずにいられるだろうか。
この少年は、この歳で、人体錬成だけでなく魂の錬成まで……。