第14章 鋼の錬金術師
「アル、呼んでこようか?」
ウィンリィの言葉にオレは小さく首を振る。
こんな姿、アルには見られたくない。
余計な心配をかけてしまう。
それに…、今、アルの姿を見てしまったら……。
夢の中のアルと現実のアルが、もしかしたら同じことを言うんじゃないかって思ったら……。
「今、アルに会ったら……、アルを見たら、オレ……。だって、オレのせいだ……、アルがあんな身体になったのはオレのせいだ……。あいつ、食べる事も、眠る事も、痛みを感じる事もできないんだ……」
思い出すのは、大きな鎧の後ろ姿。
体温を感じない無機質な鉄の塊。
一緒に笑って、走り回って、喧嘩して、飯を食って、喧嘩して……。
そんな、当たり前のことがもうできない。
そうさせてしまったのは、オレなんだ。
あいつだってきっと思ってるんだ。
こんな身体になったのは……。
「…………あいつ、きっとオレを恨んでる………!」
無意識にぎゅっと強く拳を握り締めた。
「そんな事ない!」
「アルはおまえを恨むような子じゃないよ。訊いてみればわかるだろ」
ウィンリィとばっちゃんの声に、目頭が熱くなるのが分かった。
目を覆っているタオルがじんわりと濡れていく。
「怖いんだ……。怖くて訊けないんだ……」
そして、一つの雫が頬を伝って首を濡らした。
その冷たさが余計にオレを追いつめる。
「だから、一日でも早くオレが元に戻してやらなきゃ……」
それが、オレにできる唯一の贖罪。