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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第14章 鋼の錬金術師








「誰かいる様子はあるか?」
「いえ……。ただ、」

私はそこで言葉を濁した。
すごく重たい空気が肌にまとわりつく。
床に散らばっているたくさんの本や書類。
拾い上げて中身を見てみると、それはすべて錬金術にまつわる文献。
錬金術に長けていると言っていたからずっと研究をしていたのだろう。
その痕跡がしっかりと残ってある。
だけど、それだけではないような。

「エルリック兄弟とはこの子たちのことか?」

家の中を散策していると、ある部屋のテーブルの上に一枚の写真立てが置いてあった。
そこには金色の髪の毛と金色の瞳をした少年二人が、釣り竿と大きな魚を持って笑っていた。
嫌でも思い出してしまう、兄のことを。
兄もこんな風に眩しく笑う人だった。
思い出すな。
思い出したら、苦しくなるだけだ。

「大丈夫か?」
「平気です。問題ありません」

中佐が心配そうに声を掛けるが、私は平素を装った。
彼らに気づかれないように息をゆっくりと吐きだし、次の部屋へと足を踏み入れる。

そして、ある部屋の扉を開けた時、身体がびくりと跳ねその場で固まってしまった。
眼前に広がるのは、大きな錬成陣と血だまり。
床にはいくつもの薬品の瓶が転がっている。

見覚えのあるそれらに、私の体はがくがくと震えだす。
これは―――……。

「どうした、……」

様子がおかしいことに気が付いたマスタング中佐とホークアイ少尉が部屋へと近づき、そして中を覗いた。
悲惨な部屋のありさまにマスタング中佐は言葉を失い、表情を硬くしていく。

「……アールシャナ少尉」

中佐も見覚えあるだろう。
私が犯した罪を。
償うべき罰を。
一年前に、私の家で、あなたはこれと同じものを見ているのだから。






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