• テキストサイズ

【鋼の錬金術師】紅の幻影

第14章 鋼の錬金術師










目を瞑り大きく息を吸いこむ。
土と干し草に混じる微かな家畜の匂いがして、澄んだ空気が肺の中を満たす。

「しかし東方司令部の中佐さんがなんでまた……」
「有能な術師を見極めて推薦するのも私の仕事だ」

なんて言っているけど、本当は内乱のせいで人手不足なだけだ。
本来であれば、これは中佐の仕事じゃない。

事情を聞いた憲兵は、「エルリックのちびどももおったまげるでしょうよ」と笑い声をあげた。
………………ちびども?
その単語に違和感を覚えたのは私だけじゃない。
マスタング中佐は手に持っていた書類を広げて、紙に書いてある文字を読み上げる。

「リゼンブール村、エドワード・エルリック31歳……」
「いえ、そいつ11歳。弟はひとつ下」

淡々と答える憲兵に私とホークアイ少尉は顔を見合わせた。
書いてある内容と憲兵の言う内容に違いがある。
つまりこれは……。

「結論から申し上げるならば、"書類不備"です」
「書類不備にも限度があるのでは?」

20歳も年齢を間違うことなんてあるのか。
なんて思ったが、人員不足が祟ったんだろうな。

「会うだけ会ってみたらええじゃないですか」

憲兵はほっほっほっ、と笑った。
この村がゆったりとしているせいか、この人もマイペースな人だ。
それくらい、ここが平和で穏やかな証拠なんだろうけど。

エルリック家に着き、軽くノックをする。
が、返答がない。
中から物音もしないとなると留守だろうか。

「……中佐、扉が開いてます」

玄関の扉を軽く押すと、田舎だからか鍵は掛かっていなかった。
ぎぃ、と鈍い音が鳴り玄関を開ける。





/ 420ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp