第14章 鋼の錬金術師
「ちがう……、こんなのを望んだんじゃない……」
こんな、こんなものを生み出すのが錬金術だなんて。
オレ達が信じた錬金術はこんなものじゃないのに。
オレ達が望んだのは……!!
いくら泣いても、目の前の光景は変わらない。
生ぬるい空気の中に充満する鉄の匂いと微かな合成物質の匂いに、腹の奥がぐにゃりとねじ曲がるような感覚がして、その場で吐き出した。
胸や腹が波を打つたび、床に飛び散る吐瀉物。
吐いても吐いても、吐き気は止まらなかった。
「アル……、オレのせいだ。オレの……」
オレが、あの日。
葬式の日に、「母さんを元に戻したい」なんて言ったから。
アルは「やっちゃいけないことだよ」って言っていたのに。
オレが、あんなことを言わなきゃ……、アルはこんな目に……。
自分に対して怒りがこみ上げる。
母さんは元にもどせなくても、せめてアルだけは……。
オレの弟だけは取り返さなくちゃ……!!
適当に布を掴み、足の傷の止血をした。
そして、飾ってあった鎧の一つを床に倒し、手に着いた血で鎧の身体に錬成陣を描く。
「返せよ。弟なんだよ…………」
痛みと失血で朦朧とする意識の中、完成した錬成陣。
「足だろうが!両腕だろうが!……心臓だろうがくれてやる。だから!!返せよ!!たった一人の弟なんだよ!!」
願いにも似た思い。
両手を合わせて、再び真理の前へとやってきた。
「バカだな。また来たのか」
そうしてオレは右腕と引き換えに弟の魂を錬成した。