第14章 鋼の錬金術師
白い空間から戻ってきたら、左足に激痛が走った。
真っ赤な液体が床を染めていく。
肉の隙間から見える自分の骨に嫌な汗が全身から噴き出る。
くそ、なんでこんな……!!
「アル!アルフォンス!!」
弟の名前を叫ぶが返事がない。
それどころか姿が見当たらない。
嘘だろ、アルが、アルが……!!
こんな事があってたまるかよ……!!
こんな、こんなはずじゃなかった………。
「畜生ォ……。持って行かれた………!!」
むき出しになった左足の肉と骨。
床を汚し続ける真っ赤な液体。
死ぬ……。
死んでしまう……。
いやだ、そんなの……。
死にたくない……!!
「助けて……。誰か……。母さん……!!」
ふと、錬成陣の方へを目を向けた。
これだけのことをしたんだ。
きっと母さんはそこにいるはず。
そう思って。
だけど、オレの目に飛び込んできたものは、地獄そのものだった。
焼け焦げたように真っ黒い"それ"は、腕のようなものを4本生やしていて、あばら骨もむき出しに仰向けになっていた。
息はかろうじてしているものの、到底母さんと呼べるような―――いや、人間とも呼べるような代物ではなかった。
"それ"は腕をゆっくり挙げてゆらゆらと揺れている。
まるで、「こっちへおいで」と言っているような。
うそだ。
ちがう。
こんなの。
だって。
そんなの。
まちがいであってほしい。
だって。
オレ達が錬成したのは。
いやだ。
ちがう。
こわい。
"それ"はごぼっと音を立てると口から大量の血を吐き出して、そのままぴくりとも動かなくなった。
何度も首を振って、目の前にある物がどうか夢であってほしいと願う。
けれど、夢なんかじゃない。
紛れもない、現実だ。