第2章 炭鉱の街
「それにしても……だーれも乗ってないね」
「うわさには聞いてたけどこれほどとは……」
汽車の中は私たち3人しか乗っていない。
不気味な程静かだ。
だからこそ、人体錬成の話しなどができたわけだが。
しかし、もう少し乗客がいると思っていたが、想像を遥かに超えていた。
といっても、こんな場所に観光も無いだろうけど。
"東の終わりの街"
ユースウェル炭鉱
駅に着き、まず思った事は、活気が無いということだ。
炭鉱……といえば活気のあるイメージが強いが、ここは活気とは真逆で空気がとても重かった。
「みなさんお疲れっぽい……」
「ですね……」
私がそう頷いたと同時に、隣からものすごい重たい音が鳴った。
横を見ると、頭を抑えて地面に横たわるエドワードくんと長い木材を運んでいる少年がいた。
なるほど、少年が運ぶ木材がエドワードくんの後頭部に直撃したのか。
少年、カヤルくんは私達をみるとその瞳を大きく輝かせた。
「何?観光?どこから来たの?メシは?宿は決まってる?」
話す隙を与えないほどにカヤルくんはぐいぐいと来る。
そして何も答えていないにも関わらず、「親父!客だ!」と彼の父親が経営する宿へと引きずり込まれた。
強引すぎではないかな、と思ったが寝床を用意してくれると言うのだし、何より経営者なのであればこの強引さは大切なのかもしれないと思った。