第14章 鋼の錬金術師
「ようこそ。身の程知らずのバカ野郎」
逃げようとしても黒い触手のようなものに簡単に捕まってしまった。
さっきみたいに分解されてしまうんじゃないか。
死んでしまうんじゃないか。
恐怖がオレを襲い、叫ぶことしかできない。
「真理を見せてやるよ」
と、そいつは静かに言い、その言葉と共に、扉の中へと引きずり込まれた。
扉の中は、果てしない、途方もないほどの知識や情報が目の前に広がっている。
それらひとつひとつの情報を理解したくても、歴史や世の理全てが次から次へと流し込まれていく。
目を瞑ることも思考を止めることもできないまま、ただただ溢れる知識を脳へ直接叩きこまれているような。
いつまでも終わらない膨大な情報量に、頭が割れそうになる。
もういやだ。
もうやめてくれ。
そう叫んだところで、これらが止まるわけもなく。
自分の身体がまた分解されて壊れていくのを感じた。
もういやだ!
もうやめてくれ!
何度そう思っただろう。
この情報の渦から逃げたくて、誰かに助けを求めたくて―――。
その時、白い影のような存在が目に映った。
長い髪の毛を揺らしているそれは、母さんに雰囲気がとても似ていた。
「かあ……」
母さんが目の前にいる。
必死に手を伸ばして、母さんの手を握ろうとした。