第14章 鋼の錬金術師
急いで市場に行って、必要な材料を集めて足早に家に帰る。
やっと、やっと母さんに会える……!!
それだけしかオレもアルも頭になかった。
「水35ℓ、炭素20㎏、アンモニア4ℓ、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、イオウ80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g……」
大人一人分として計算した場合の人体の構成成分。
人体を構築するために必要な材料たち。
「えへへ。母さんに会ったら最初になんて言おう」
「決まってんだろ。"師匠にはだまっといて"だ!」
「あはは!」
部屋の中にオレ達の笑い声が響く。
信じて疑わなかった。
母さんが元にもどるって。
大きなタライの中に材料を入れて、人体錬成の陣を描いて、そして魂の情報としてオレ達の血を流しいれる。
「いくぞ、アル」
「うん」
錬成陣に力をこめると、青白い光が放たれる。
"ちゃんと"錬成し始めたことに自然と笑みが零れる。
だが、すぐに異変が起きた。
何か様子が変だ。
空気の流れが、今まで錬成してきた時と何かが違う。
青白い光に混じって、黒いもやもやしたものがオレ達を囲う。
「兄さん、なんか変だよ…………」
アルがそう言った瞬間だった。
アルの左手に黒い何かがまとわりついている。
いや、それはオレもおなじだった。
左足がバキバキッと音を立てて、崩れていく。
リバウンドだ……!!
オレ達の身体は黒い何かに取りつかれていた。
お互いに手を伸ばすけど、あと少しというところで引き剥がされてしまった。