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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第14章 鋼の錬金術師







そして、30日目。
イズミさんは約束通り迎えに来た。
正座して待機していたオレたちにイズミさんは厳しい表情で口を開いた。

「"一は全、全は一"の答えをきこう」

オレとアルは胸を張って、

「"全"は世界!」
「"一"はオレ!」

自信満々に答える。
すると、イズミさんは目を丸くしたあと吹き出して大声で笑った。
もしかして間違えただろうか。
アルと顔を見合わせて不安になっていると、「本修行に移ろう」と言った。

「舟に乗りなさい。温かいご飯とベッドが待ってる」
「兄さん!生きるってすばらしい!」
「弟よ!!」

がしっとお互い抱きしめあい舟に乗り込むと、なぜかあの獣男までもが乗ってきた!
なんでこいつも乗ってくるんだよ!!
そう思っていると、イズミさんが「ごくろーさん」と親し気に獣男に話しかけた。

ど、どういうことだ……。

どうやらこの獣男はイズミさんのところで働いている従業員のようだった。
万が一があったら困るということで見張りとしてあの島にいたらしいが、だったらなんで攻撃をさせるんだ!!
マジで死ぬところだったんだぞ!!!

「精神を鍛えるにはまず肉体から!精神も肉体も一度に鍛えられてお得な一か月だったでしょ!」

確かに鍛えられはしたけど、そんなまるでセール品みたいな……。
がっくりと項垂れるオレ達に「これからはびしびし教えるからね。覚悟しなさい」とイズミさんは言う。
その言葉にオレはぐっと拳を突き上げる。

「この島で死線をさまよったのに比べりゃどんな事だって天国だぜ!もう怖い物なんて無ぇよ!!」

そう宣言した途端、頬に容赦ないパンチがめり込んだ。
しかも裏拳。

「し、死線超えました……」

獣男なんかよりも師匠のほうがもっとずっと果てしなくこの上なく怖い……。
この身を持って思い知った。








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