第14章 鋼の錬金術師
「ここで死んだらどうなるって話したよな」
その夜、夜空に浮かぶ満月を眺めながらオレはアルに話しかけた。
オレ達が死んだらみんなが悲しむって、以前まではそう思っていた。
間違いではないけど、それは主観でしかない。
客観的に見たら、オレやアルが死んでもこの世界は何事もなかったかのように回り続ける。
残るのは肉体だけ。
「水と炭素とアンモニアと石灰とリンと塩と硝石と……」
人間の体はいくばくかの元素の合成物でしかない。
死んだあとはバクテリアに分解されて植物の栄養になるだけだ。
「でも、その植物は草食動物を育て、草食動物は肉食動物を……って、ボクらの意識しない所でも当たり前に循環しているんだ」
そう言ってアルは身体を起こすと、火が小さくなった焚き火を見つめた。
地面に転っている、数本の骨。
今日捕まえたウサギだったものだ。
目に見えない大きな流れ―――。
それを"世界"と言うのか"宇宙"と言うのか分かんないけど、オレもアルもその大きい流れの中のほんの小さなひとつ。
全の中の一
「だけど、その一が集まって全が存在する。この世は想像もつかない大きな法則に従って流れている。その流れを知り、分解して再構築する……。それが錬金術!!」
"一は全、全は一"の答えが、ようやく見つかった。