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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第14章 鋼の錬金術師







飢えと恐怖と疲労とで、気絶するように寝ていると、どこからかいい匂いがしてきた。
その匂いにつられるように、オレ達は目を覚まし身体を起こすと、獣男が魚を焼いていた。
獣男もオレ達が起きたことに気が付いたようで、焼けた魚をオレ達に差し出した。
一瞬、躊躇した。
なんでこいつがそんなことするのか、わからなかったから。
でも、そんなの今はどうでもよかった。
オレもアルも限界だったから。

獣男から魚を奪うように取って、無我夢中でかぶりつく。
久しぶりに食べる飯に、腹が満たされていく。
同時に、ぼろぼろと涙がいくつも流れた。
うまく言えないけど、理屈じゃなくて感覚で思い知った。
生きていくってこういうことなんだって。
オレ達が今食べている魚もさっきまで生きていた命なんだって。
そうやって生かされている命なんだって。
泣きながら魚を食べるオレ達を、獣男はただじっと見つめていた。

それからの生活の流れは今までと何も変わらない。
食料の確保に奔走し獣男と戦う日々。
変わったことがあるとしたら、魚を食ったことで何かが腑に落ちて、この生活に順応していったということくらいか。





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