第14章 鋼の錬金術師
無人島に来てから2週間が経った。
昨日の雨はいつの間にか止んでいて、強い日差しがじりじりと地面を焼いている。
セミの鳴き声が聞こえるけど、近いのか遠いのかさえわからない。
喉が、乾いた。
けれど、動く気にもなれない。
喋る気にもなれない。
考える力はもうない。
ただぼんやりとするだけの時間。
セミの死骸に群がるアリの姿が目の端に入った。
そっか、死んだのか。
アリは時間をかけて、セミの羽を解体している。
オレ達も死んだらこんなふうになるんだ。
肉も骨も残らないで、動物や昆虫のエサになって、"オレ"はどこにも存在しなくなるんだ。
そう思ったら、鼻の奥がツンとして涙が溢れそうになった。
「立て」
声がした。
獣男の声だった。
しゃがんでいる獣男はじっとオレを見ている。
「戦え」
いつもと同じことばかり言っている。
うるさい、うるさい。
「………殺したきゃ、殺せ」
戦う意欲も力も、もう残っていない。
「死ぬのか?」
獣男が首をかしげた。
どこか心配するような、寂しそうな声だった。
死ぬのか。
オレ達は、ここで、死んでしまうのか。
脳裏にセミの死骸が過った。
時間をかけて分解されていく、オレもアルも。
そんなの……。
「……ない。……たくない。死にたくない……、死にたくないよ……!」
そう、泣くことしかできなかった。