第14章 鋼の錬金術師
その日の夜、うとうととまどろみの中を彷徨っていると静かな雨の音が耳の中に入り込んできた。
最初は「雨が降ってきたなぁ」とぼんやりと思っていたけど、次第に強くなってガタガタと窓も大きな音を立てはじめる。
外から大人の声も雨の音に混じって聞こえてきて、これがただの大雨じゃないってことが子供ながらに感じた。
「レイン川……大丈夫かな」
「見に行こう、アル」
もし川の水が溢れてしまったら、家もなにもかも流されてしまうんじゃないか。
そんな不安にオレもアルも襲われ、いてもたってもいられなくなりオレたちは雨用のコートを羽織って外へと飛び出した。
レイン川に行くと、堤防の一部が決壊しかけていて大勢の大人が土のうを積み上げていた。
けれど、川の水はどんどん増えていって堤防が決壊するのは時間の問題だった。
早く高台に逃げないと。
その場にいた誰もがそう思っていた時だった。
「あぶないからはなれててください」
ドレッドヘアの女の人が川に近づいてそう言い、両手を合わせた。
地面に手をつくと青い閃光が目の前に広がった。
青い光は地面を抉り、高い、本当に高い壁を錬成した。
こんなに大きくて広範囲のものを一瞬で錬成しちゃうなんて……。
独学とはいえ錬金術を学んできたから、この女の人の凄さがすごくわかる。
その凄さは錬金術を学んでいない村の人達も全員わかっていて、みんな驚いていて目を見開いていた。
「あんた何者だ」
尋ねる村の人に女の人はにっこりと笑って
「通りすがりの主婦です」
そう言って、口から血を吐いた。
「だっ……誰かタンカ持って来い!!」
「医者だ、医者ーーーっ!!」
慌てる大人たちをよそに、オレとアルはお互いに顔を見合わせた。
この人から錬金術を学んだら、オレ達もきっとすごい錬金術を使えるようになる。
そしたら母さんを……!!