第14章 鋼の錬金術師
「成功した人がいない危険な錬成だからじゃない?ほら、一夜で国が滅んだっていう……」
「東の砂漠の賢者の石か」
「そうそれ。完全な人間を作ろうとして国見が巻き込まれてさ」
「あんなのただのおとぎ話だろ」
「じゃあさあれは?錬成中にハエが入り込んでハエ人間になっちゃったってやつ」
「そりゃこの前見た映画の話だ……」
ランタンの明かりだけが灯る暗い部屋で、アルと二人向かい合って眠くなるまで錬金術の話をしている。
"あいつ"の部屋は錬金術の本がたくさんあるから、いつの間にかここがオレ達の寝床となっていった。
「大人はきっと自分たちができないからって禁止にしているんだ。死んだ人が生き返ればみんな嬉しいに決まっているのに。オレとアルと母さんとまた楽しく暮らせるなら母さんだって喜んでくれるよ」
きっと「ありがとう。嬉しいわ。みんなに自慢しちゃおう」って言って笑ってくれる。
そうに、きまっている。
「ねぇ。やっぱりボク達だけの知識じゃ無理だよ。……父さんがいれば錬金術を教えてくれたかな」
「あいつの話はするな!勝手に出てって母さんを泣かせて!母さんは女手ひとつで苦労してオレ達を育てて病気になって!そんな目にあわせといてあいつは葬式にも帰って来やしない!」
そんなやつに錬金術なんて教わりたくなかった。
あいつを父さんなんて思いたくもないし、顔も見たくない。
あいつに錬金術を教わるくらいなら、オレ達だけで……。
「でも、やっぱり独学じゃ限界があるよ」
アルの言葉にオレは何も言い返せなかった。
アルの言う通りだったし、オレもずっと思っていたことだったから。