第13章 あんたたちの代わりに
そう思っていると、ウィンリィさんがか細い声で「起こして」とエドワードくんの袖を握って言った。
どうやら赤ちゃんが無事に生まれたことに安心して腰を抜かしてしまったらしい。
どうりでずっと床に座っていると思ったら、それが理由だったのか。
気付かなかったということは私も相当、頭が回っていないらしい。
「自分よりちっさい男におんぶなんて屈辱だわ……」
「落とすぞてめー」
お互いに悪態をついているけど、お互いにお互いを大事にしていることは言葉の温度で分かる。
可愛らしいじゃないですか。
エドワードくんが部屋の外に置いてある椅子にウィンリィさんを座らせようとした時だった。
「銀時計の中身ね、見ちゃった」
その言葉と同時に、彼はウィンリィさんを床に落とした。
「おまえな……。無理矢理開けたのか……」
「ごめんね。ごめんなさい」
いつもの明るく元気な彼女とは違い、今は床に座り込み俯いて静かに謝罪をしている。
本心だからこそ、いつものように強くは怒ったりしなかった。
「あの、私も銀時計の中身を見てしまいました。申し訳ありません」
書かれていた言葉の意味はわからなくとも、錬金術でフタを開けられないようにしていたんだ。
見られたくないものがあると少し考えればわかったことなのに。
興味本位で彼の隠したいことを覗くような行為をしてしまった。