第13章 あんたたちの代わりに
深々と頭をさげると、彼は深いため息を吐いた。
「……バカヤロ」
そう言って頭を乱暴に掻いたあと、ウィンリィさんの腕を優しく掴み椅子に座らせ、彼自身も隣の椅子に腰を下ろした。
私はウィンリィさんの隣に立って、静かにエドワードくんの声に耳を傾けた。
「…………アルにも見せた事ねーんだぞ」
「どうして」
彼女の問いに彼は少しだけ沈黙しゆっくりと心の内を吐き出す。
「自分への戒めと覚悟をこうやって形にして持ってなきゃいけないなんて、我ながら女々しいよ」
いつも強きで生意気で自信家な少年の姿はどこにもなく、目の前には精神的に未熟で繊細な少年しかいなかった。
「なんでおまえが泣くんだよ」
ウィンリィさんを見ると、嗚咽を漏らすことなくただ頬を濡らしていた。
「あんた達兄弟が泣かないから、代わりに泣くの」
「…………バカヤロ」
私は静かにその場を立ち去った。
これ以上あの空間にはいられなかった。
二人にしかわからないこと過去のことを聞き続けることは、私の知らない彼のことを聞くのは、辛かったから。