第13章 あんたたちの代わりに
家へ戻ると、サテラさんの傍にいたパニーニャさんがすごく慌てた様子で駆け寄ってきた。
パニックになっているのか要領を得ない言葉を並べるが、「水」という単語に身体が無意識に反応する。
それは私だけでなくウィンリィさんも同じようで「もうすぐ生まれちゃうって事」と顔を青ざめながら言った。
慌てふためく兄弟とパニーニャさん。
落ち着いてくださいとは今度ばかりは言えなかった。
お医者様が来るまであとどのくらいか。
絶対に間に合うはずがない。
だからと言って放置するわけにも……母子の健康が……でもお医者様が……。
ぐるぐるとまとまらない考えばかりが頭の中でループする。
いや、本当はわかっている。
この場でできる最善があるということを。
決断できないのは「それ」を実行できる自信がないからだ。
だけど彼女は……彼女だけは違った。
ウィンリィさんはその場にいる全員を集めて「私たちで赤ちゃんを取り上げる」と言った。
出産に立ち会った経験など一度もないだろうに、それでも彼女は力強くそう言った。
今できる最善を、彼女は率先してできる。
既に胎を括っていたのだ。
眩しくてカッコよくて、なんて腹立たしい……。
己の醜さに唇を噛みしめる。