第13章 あんたたちの代わりに
また逃げてしまわぬように、私はパニーニャさんを拘束した。
逃げる意思はないのか、彼女は拘束される間も大人しかった。
いや、ウィンリィさんの熱量にあてられて動けないだけかも。
その証拠に、ウィンリィさんはパニーニャさんの機械鎧を見て、興奮を抑えきれないみたいだ。
「サスペンションも他の機械鎧と比べ物にならないくらい高度だけど、なんと言っても全体のバランスよね。武器を内蔵する為に徹底的に外装のスリム化がされているのね。それでいてあの運動量と衝撃に耐えられるだけの硬度を……」
すごい早口で専門用語を述べる彼女に私もエルリック兄弟もついていけず「いい天気だな」「そうだね兄さん」「風が気持ちいですね」「そうですねさん」なんて、遠い目をしながらそんな会話をするしまつだ。
「ねぇ、パニーニャ!この機械鎧を作った技師を教えて!」
ぼんやりしていると、ようやく理解できる会話が耳に届いた。
パニーニャさん曰く、彼女の機械鎧を作った技師はとてもへんぴな所に住んでいるらしく、案内する代わりにスリの件は見逃してほしいと言ってきた。
「待てーーーい!!」
「それはちょっと吞めません!!」
慌てて二人の間に割って入る私とエドワードくん。
勝手に決められては困る。
彼女は常習的にスリを行っている。
それを検挙しなければいけないし、なにより今回彼女が盗んだのは国家錬金術師の証でもある銀時計だ。
そう簡単に見逃せるはずがない。
「ウィンリィさん、あのですね……」
彼女の機械鎧に対する勉強熱心なところや努力する姿はとても尊敬しているが、それとこれとは別だ。
注意と言う名の説教をしようと口を開いた瞬間、家やお店を壊された住民たちがこめかみに青筋を立てて腕組みをして立っていた。
「タイミング……」
叱るに叱れず、私はエドワードくんと一緒に家屋の修復へと時間を割いた。
よかった、修繕費を要求されなくて。
これでマスタング大佐に報告書を出さなくて済む。