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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第12章 それぞれの行く先






「………ふたつめは?」
「人体錬成について師匠に訊く事!」

兄弟たちは言った。
彼らは師匠の元で修行をしたが、賢者の石や人体錬成については教えてもらっていない、と。
賢者の石が色々とぶっそうな事になっているから、思いきってストレートに元の身体に戻る方法を訊いてみる、と。

「もうなりふりかまってらんねーや。師匠にぶっ殺される覚悟で訊いて……訊いて……短い人生だったなぁ、アル~~~~」
「せめて彼女だけでも作っておきたかったよ、兄さん……!!」

さきほどまでの覚悟はどこへいったのか。
兄弟は身体を震わせて涙を流していた。
どれだけ怖い人なんだろう。
鍛錬をしたいと言った手前、エルエリック兄弟が慄く人物に私も怖くなってきた。

「あ、そうだ!」

どよ~んとしている兄弟たちに元気を出してもらおうと、ウィンリィさんがカバンの中から四角い箱を取り出した。
甘いいい匂いを漂わせるそれはアップルパイだ。

「どうしたんだ、これ」
「"途中で食べなさい"ってヒューズさんの奥さんとさんが作ってくれたの」
「が……?」
「半分以上はグレイシアさんです。長旅になると言ったら笑顔で作ってくれました」
「それにしても多いな……」
「4人分ありますから」
「ボクの分も食べなよね、兄さん」
「ゔ!!病院での仕返しかてめ、このヤロー」

兄弟たちのじゃれ合いに私は静かに微笑む。
アップルパイに手を伸ばして一口食べるエドワードくんは「美味い!」目を輝かせる。




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