第12章 それぞれの行く先
――・アールシャナside――
「なんでまた急に師匠の所へ行こうなんて思ったの?」
セントラルを出て、数時間。
列車に揺られ今回の目的地であるダブリスへ向かっている最中、ウィンリィさんが隣に座るエドワードくんに聞いた。
どうやら理由はふたつあるらしく、ひとつはここ最近負けっぱなしだからとにかく強くなりたいとのこと。
「はぁ?ケンカに強くなりたくて行くの?あんたらケンカ馬鹿?」
「ばっきゃろー!そんな単純なもんじゃねぇや!!なんて言うかこう……ケンカだけじゃなくて中身もって言うか……なあ!」
「そうそう!」
「オレはもっともっと強くなりたい!」
「うん!とにかく師匠の所に行けば何か強くなる気がする!」
決意を決める兄弟を見て「私も強くしてもらえるのでしょうか」と気づいたら呟いていた。
「私もここの所、負けっぱなしで君たち兄弟を護れていません。それは仕事放棄と同じことなので、鍛錬をしたいと思っていました」
「言えば相手してくれると思うぞ。あ、でも軍の人間だって言わない方がいいぞ!!師匠は軍の人間が嫌いだから!!」
「…………そう、ですか」
エドワードくんだって軍の人間でしょうが、と言いそうになったがその言葉を飲み込んだ。
だらだらと汗をかく彼の表情を見たら相当怖い人なんだと想像がついたから。