第1章 三人の錬金術師
こわ、れた……。
完全な物質である賢者の石が、リバウンドを引き起こし挙句壊れるなんて……。
「どういう事だ!」
「し、知らん!!私は何もきいてない!!」
「偽物……ということですか?」
「ここまで来て……やっと戻れると思ったのに……偽物」
ショックを受けているエドワードくんはよろよろと立ち上がるも、数秒後には膝から崩れ落ちてしまった。
心なしか、彼の口から魂のようなものがみえるが幻覚だと思いたい。
「おいおっさん、あんたよォ……。街の人間だますわオレ達を殺そうとするわ……」
エドワードくんの低い声に、怒られていないはずの私の背中に変な汗がつたった。
青色の錬成反応に建物が大きく揺れ始める。
この場にいては危険だと理解しているが、動けないのは彼の迫力に負けてしまっているから。
「しかもさんざん手間かけさせやがって、そのあげくが"石は偽物でした"だぁ?」
相当キレている……。
そう思った時にはエドワードくんは巨大な神像を錬成していた。
どこかで見たことあると記憶を辿れば、それはレト教の神像だった。
ぐらりと立ち上がるレト神はゆっくりとコーネロに近づき、
「神の鉄槌くらっとけ!!」
―――神の鉄槌が振り落とされた。
神を信じない彼が神の鉄槌を下し、神を作り上げた教主が神の鉄槌を下されるだなんて。
皮肉なもんですね。