第12章 それぞれの行く先
瞬間、エドワードくんは私の身体を軽く突き飛ばし距離を取った。
「ち、ちがっ……!!誤解すんなっ!!べ、べ、別にキスとかそんな、違うからなっ!!」
「……なにも、言っていないじゃないですか」
一生懸命弁解しようとするエドワードくん。
確かにそういう雰囲気はあったけど、そこまで否定されるとなぜだろう、ちょっと腹が立つ。
「勘違いもなにも……。エドワードくんにそんな度胸があるとは思っていませんし、なんの心配もしていませんよ」
だから嫌味なことを言ってしまった。
売り言葉に買い言葉、とはこのことを言うのだろうか。
エドワードくんはむっと瞳を吊り上げ口を尖らせた。
「んなこと言ってるとガチでやんぞ」
「やってみなさい。やれるもんなら」
お互いに近づきにらみ合った。
今度は折れるわけにはいかない。
「……………目、つぶれよ」
「…………」
エドワードくんの言う通り、私はぎゅっと目を閉じる。
瞼の裏に闇が広がる。
心臓の五月蠅い鼓動が脳内に直接響いて、自分が緊張していることに気づく。
でも、彼にだけは悟られたくなくて必死に平常心を装った。
近づいてくる気配に、無意識に両の手を力強く握りしめた。
彼の吐息が唇にかかり、小さく身体が揺れた。
気づいていませんように。