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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第12章 それぞれの行く先







「なんでしょう」
「…………あのよ、」

言葉を飲み込むエドワードくん。
なにか言いづらいことでもあるのだろうか。
もごもごと口を動かすだけの彼に私も痺れを切らしてしまい「何か言いたいことがあるなら言ってください」と急かしてしまった。
すると意を決したのか真っすぐに私を見つめ、

「おまえ、エンヴィーってやつと知り合いか?」
「…………………はい?」

素っ頓狂な声が出てしまった。
一体何を言い出すんだ。
知り合いなわけがないでしょう。
何をどう見たらそういう考えに至るのかまったく理解できない。

「いやだって、おまえ、あいつと………」

言葉尻が萎んでいき最後の方は聞き取れなかったが、言わんとしていることが分かってしまった。

「バカじゃないですか!!!!」

気づいたら叫んでいた。
バカ、と言われたことに彼もカチンときたのだろう。
エドワードくんも私と同じくらいの声量で怒鳴り返してきた。

「じゃあなんで、き、キスしてたんだよ!!知り合いじゃなきゃあんなことしねえだろ!!」
「その目は節穴ですか⁉あっちが勝手に私にキスしてきたんです!!同意なんてしてません!!」

エドワードくんとにらみ合うこと数秒。
先に折れたのは私だった。
大きなため息を吐いて時計に目をやる。
時計はもうすぐ17時を指そうとしていた。
こんなことに時間を使っている場合じゃない。




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