第12章 それぞれの行く先
次へ行く場所はダブリスという南部の真ん中あたりにある街だ。
地図を広げるアルフォンスくんはダブリスがある場所を指さした。
「あーーーーーー!!」
すると地図を見ていたウィンリィさんが大きな声を出した。
どうやらダブリスの手前の街が気になる様子。
ラッシュバレーと書かれたそこに機械鎧技師の聖地らしい。
一度行って見たかったと背後に花を飛ばしながらワクワクしている彼女は大変かわいい。
「連れてって、連れてって、連れてって、連れてけ!」
「一人で行け、そんな所!」
「誰が旅の費用を払うのよ!」
「オレにたかる気か!!」
「いいんじゃない?ついでだし」
「アルフォンスくんの言う通りです。出張整備もしていただいたのですから、そのくらいは聞いてあげてもいいのでは」
「やったあ!!」
「俺の味方が一人もいねぇ!!」
一気に病室が賑やかになった。
このくらいの騒がしさが居心地がいいと思うのは、彼らと過ごた時間が長いという証拠でもあるようで、嬉しくなった。
ウィンリィさんはピナコさんに連絡してくると言って病室を出て行った。
相当楽しみなのだろう。
廊下を出てからも暫く彼女のテンションが上がった声が聞こえる。
「元気だなぁ」
「元気ですねぇ」
「うん。いい嫁さんになるぞ。うちの嫁さんほどじゃないけどな」
「オレに言うな!!そしてさり気なにのろけんな!!」