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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第12章 それぞれの行く先







「軍上層部を色々調べているようだな、アームストロング少佐」
「はっ!?あ……、いやその……。何故それを……」
「私の情報網を甘く見るな。そしてエドワード・エルリック君。"賢者の石"だね?どこまで知った?場合によっては―――」

ピリッと空気が張りつめる。
心臓が嫌な音を立てて鼓動するのが分かった。
この場を切り抜ける最善の"答え"を探していたら、病室に大総統の笑い声が響いた。

「冗談だ!そうかまえずともよい!」

笑えない冗談だ……。
肝が冷えたし、一瞬だけ死を覚悟した。
大総統は言った。
軍内部で不穏な動きがあることは知っている、と。
どうにかしたいと思っていた、と。

そう言って彼は、サイドテーブルに置かれている複数の紙を見つけると、それを手にとり一枚一枚目を通す。

「ほぅ……。賢者の石の研究をしていた者の名簿だな。よく調べたものだ。この者達全員、行方不明になっているぞ」

全員……?
第五研究所が崩壊する数日前にいなくなったと大総統は言った。

「敵は常に我々の先を行っておる。そして、私の情報網をもってしてもその大きさも目的もどこまで敵の手が入り込んでいるのかもつかめていないのが現状だ」
「つまり、探りを入れるのはかなり危険である……と?」
「うむ。ヒューズ中佐、アームストロング少佐、アールシャナ中尉、エルリック兄弟」

静かに私達を呼ぶ大総統。
その声には圧があり、自然と身体が強張るのがわかった。




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