第12章 それぞれの行く先
「軍法会議所で犯罪リストでも漁れば何か出てくるかもしれねーな」
うーんと、考え込むヒューズさんはそう言った。
「我輩はマルコー氏の下で石の研究に携わっていたと思われる者達を調べてみましょう」
アームストロング少佐の言葉に私はハッとする。
私の両親は賢者の石の研究をしていた。
家に行けばもしかしたら何か手掛かりが見つかるかも。
そう思って口を開いた瞬間、扉が軽くノックされた。
みんなの視線がそちらへ集中する。
病室に入ってきたのは、アメストリス国軍の最高指導者であり、軍事独裁政権の国家元首にして独裁者、キング・ブラッドレイ大総統だった。
予想していなかった人物の登場に、私たちは驚きの声を隠せない。
「ああ、静かに。そのままでよろしい」
目を細めて笑う大総統の物腰は柔らかい。
「大総統閣下、何故このような所に……」
「何故って……お見舞い。メロンは嫌いかね?」
「あ、ども。……じゃなくて!!」
ヒューズさんの問いにためらいもなく答える大総統は、エドワードくんに大きなメロンを渡した。
素直に受け取るエドワードくんだったが、軍の人間でもない人の所にお見舞いに来るのはいささかおかしい。
私はサイドテーブルに散らばるイラストが描かれた紙を裏返した。
これを見られてはいけない、もし見られたら私たちは処罰される。