第11章 鋼のこころ
「追っかけなさい!」
ビシッと指を差すウィンリィさんに従うしかないアルフォンスくんはエドワードくんの後を追いかけ病室を後にした。
彼の後姿を見て、私とヒューズさんは顔を見合わせて笑った。
「私達も行きましょうか」
「あぁ」
涙を流しているウィンリィさんにハンカチを渡して、エルリック兄弟のいる場所へと向かった。
彼らはやはりと言うべきか、屋上にいた。
エドワードくんは傷口が開くのも厭わず、アルフォンスくんと組み手をしている。
彼ららしいと言えばらしいその姿に、自然と笑みが零れる。
干してあったシーツを手にしたエドワードくんはアルフォンスくんへ向かって投げる。
視界が塞がれたせいで、エドワードくんの飛び蹴りに反応できなかったかれはそのまま地面に倒れ込んだ。
「勝った!」
胸を張ってそう言うエドワードくんに「ずるいよ、兄さん」と文句を垂れるアルフォンスくん。
彼らの間に先ほどまでのピリッとした緊張感はどこにもない。